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PTEGその後 〜彷徨えるPTEGに愛の手を〜

 2005年12月5日の朝の衝撃を忘れる事は無いだろう。突然のPTEG保険適応除外通告のあった朝である。12月6日には一件、造設予定があったが、これで一気に中止に追い込まれてしまったのだった。除外の原因は、厚生労働省の認可を受ける際、『PEGとして申請してあったのに、食道を刺すとは何事か、そんな記載は何処にもされていない!“虚偽の申請”だあああ!!』と言う厚生労働省のお役人さまの大変ごもっともな、しかるにあまりに現場を無視した横槍でした(多分これに気がついて除外に追い込んだお役人さまは「国民の為にとても良い事をした、役人冥利につきる。」とか何とか思っているんだろうに違いないですな)。
 その後、保険を使っての造設はできず、かと言って「混合診療」も認められず、その上PTEGの適応患者さんは増える事は有っても減る事が無い状態が続いていたのです。うかつな抗議行動をとって、PTEGの再認定に支障があってはいけないと、静観を続けていましたが、「どうやらもう一回、最初からやり直しになるらしい」と決まった2007年4月、決心を致しました。
 うちのような小さな病院が、再申請に当っての臨床試験の対象になるとは思えず、かと言って正攻法では保険適応での造設は無理、となれば、せめてうちの県、いや、うちの病院だけでもいいから(利己主義)、今まで通り保険で作らせて!!!と思い至ったのです。
 じゃあ、一体どうすればいいの?と思い悩み、PTEG開発者、大石英人博士に愚痴メールを出しました。そうすると、意外な事に「前回のPTEG研究会で発表されたアンケート結果の中に、未だにPEGとして造設を認めている自治体があるそうです」とのことであった。何?それなら茨城だってできるんじゃないの?
 そこで、日立市医師会長S先生、土浦医師会の県の理事M先生、水戸医師会の若手のまとめ役J先生にそれぞれメールでPTEGの現状と、いかに必要な手技であるかを訴えました。するとお三方とも非常にご理解下さり、県や社会保険、国民保険の支払い基金側、保険者、県医師会で構成される「五者懇談会」で議題として取り上げてくれるように働きかけて下さいました。
 県の職員や医師会理事の中には「PTEGって何?」と言う方もおられ、PTEGの基本的な事から、PEGとの違い、必要性等をレポートにしてまとめて提出する、何て言うおまけの作業もありましたが、とんとんと話しは進み、2007年8月には「茨城県においては、PTEGをPEGとして造設して保険請求して構わない」という御返事を頂く事ができました。信じられない程あっけなく、短期間でOKがでてしまい、いささか拍子抜けした程でした。
 あっけない程早く決めて頂いた影には、もちろん3人の先生方のご協力も、県、社保、国保、保険者さん達のご理解ももちろんでしたが、やはり「PTEGによって恩恵を受けられる方がおられるなら、受けさせてあげたい」と言う思いやりの心があったのだと思います。でも、振り返ってみて見ると、幾つかの重要なポイントがあると思いました。
 まず、水戸、日立、土浦と言う、県下の3大医師会が時を同じくして動いて下さった事。県内の医師の総意を反映するに十分な数の医師会員を代表して提出された、と言うイメージが強かったと思います。さらに、レポートで述べた「重要性」の中で強調した二つの事柄です。一つは高齢者社会が益々進み、高齢者に多く見られるようになる「食道裂孔ヘルニア」でのPEG造設不能例の増加と、昭和30年代、40年代の胃・十二指腸潰瘍の治療に胃切除が盛んに行われた頃の年代が、今まさに脳卒中世代になって、PEGが造設できない症例が今後暫く増加するだろう、と言う予測でした。意外と現実性があったのではないか、と思います。
 何はともあれ、PTEGを造設して良い事になりました。数例ご紹介頂いた患者さんのうち、最初の数名は造設前に肺炎を生じて状態が悪くなり、残念ながら造設に至りませんでした。そして年の明けた2008年1月末、およそ2年2ヶ月ぶりにPTEGの再造設を行いました。久々で、あたふたした造設でしたが、意外な事に今までの最短時間での造設になりました。  これからも、症例があればPTEGを行って行きますが、他の地域の先生方も是非、地元の医師会を通じて五者懇談会に働きかけ、保険適応を認めてもらって欲しいと思います。ここで言う「茨城ルール」のように、日本中で「○●ルール」でのPTEG造設が認められて、経鼻胃管の不快さに嫌な思いをする患者さんが少しでも減りますように祈ります。
 大石英人先生編集で、永井書店から「経皮経食道胃管挿入術」適応から手技・管理の実際まで」と言う、世界初のPTEGテキストができました。既に上梓されおり、お求め頂けます(私も少しだけ、分担執筆って言うヤツをさせて頂きました)。


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